選ぶべきじゃない住宅会社とその理由
前回の記事で、
✔ 資金計画もせずに、いきなり土地を探し出そうとする会社(人)
✔先に土地を不動産屋さんで決めてきてほしいという会社(人)
✔住宅ローンを銀行に丸投げする会社(人)
✔手当たり次第にたくさん土地情報を集めようとする会社(人)
上記に当てはまる住宅会社は、選ぶべきではないとお伝えしました。
今回はその理由についてお伝えしていきます。
選ぶべきではない理由
その理由はとっても簡単で、要するに自社の商品である
『家を売ること(=契約を取ること)しか考えてない』からです。
おそらく、これから家を建てようとお考えのあなたは、
30年以上という長期間で"住宅ローン"を組もうと考えていらっしゃると思います。
ですが、ただ"住宅ローン"だけを払っていればいいわけではありませんよね。
30年という長い月日の間で、車を買い替えなければいけないわけですし、
子供たちの学費も必要です。
また、家族の思い出づくりとして、
時には旅行に行くことだってあるのではないでしょうか。
さらに、食費や光熱費も子供の成長とともにどんどん増えていくでしょう。
携帯代だって余分にかかってくることになります。
ですから、"建てた後の暮らし"のことを考えた資金計画が
とっても大切になってくるのです。
しかし、冒頭に例を挙げたような会社(人)は、
明らかに資金計画をおろそかにしたままで
家づくりを進めていこうとしています。
そうなれば、結果的にあなた自身が無理な住宅ローンを組むことになり、
後々苦しい生活を送ることになってしまいます。
確かに住宅会社は『家を建てるプロ』なのですが、
それと同時に、『あなたにとっての初めての家づくりを全力でサポートする存在』
でもあるべきです。
本当に、あなたの将来の幸せを真剣に考えているなら、
お金のこと、土地のことについてもプロとなるべきなのです。
ですので、住宅会社を選ぶ際は、前回お伝えした点に注意しつつ、
信頼出来そうな会社(人)にお願いするようにしていただければと思います。
ただし、"よく足を運んでくれるから熱意がある"、
"ニコニコしていて感じが良いから信頼出来そうだ"と思っていたら、
契約やたらとた途端、態度が変わったというお話も聞きますので
注意が必要です。
こんな会社にも注意!
上記以外にも、"安さをアピールしてくる会社"や、
"やたら値引きをする会社"も要注意です。
お客様にとって安いこと、値引きをしてくれるということは
嬉しいことだと思います。
ですが、なにもないところから造っていく注文住宅では、
それが後々お客様自身に跳ね返ってくることになるかもしれません。
ではその理由について、具体的にお伝えしていきましょう。
値引きをしてくる会社が危険な理由
なぜ値引きをしてくる会社が危険なのか、
またそれが後々自分に跳ね返ってくるとはどういうことなのか、
その理由を詳しくご説明します。
まず、家の価格は大きく分けて以下の3つの要素から成り立ちます。
1.職人さんの手間
2.建築会社の利益
3.家の材料代
家の価格を安くしたり値引きをするということは、
この3つのうちのどれか、あるいは全部を安くするしかありません。
では、それぞれの要素で安くした場合、どうなるのか考えていきましょう。
『職人さんの手間』を安くした場合
1つ目は『職人さんの手間』についてです。
例えば、あなたが○○工務店と契約するにあたり、
100万円もの費用を値引きしてもらったとしましょう。
(普通ならありえませんが...)
1日の手間代が15,000円の大工さんが、
90日かけて建てる予定のお家であれば、
大工さんに支払う手間代は135万円ということになります。
そして、仮にその手間代を工務店側から27万円値引き要求されたとしたら、
大工さんは108万円で仕上げなければならなくなります。
そうなれば、大工さんの1日の手間代は12,000円となり、1ヶ月で25日働くとしたら、
月間で75,000円も手取りが減ってしまうことになります。
もし、あなたがこの大工さんの奥様ならどう思うでしょうか?
月の給料が75,000円も減ってしまえば、生活が厳しくなります。
ですので、この大工さんは給料が減らないように仕事するようになりますね。
つまり、108万円で仕上げなければいけない家で、
15,000円の手間代をもらおうと思うなら、
90日かけて仕上げる予定だった家を、わずか72日で仕上げようとするわけです。
これがどういうことなのかご想像してみてください...。
もしかしたら早く終わらせようと、雑な工事になるかもしれません。
朝早くから夜遅くまで仕事をして、近隣の方から
クレームの声が上がってきてしまうかもしれません。
必ずしもこうなるわけではありません。
ですが、せっかく高いお金を出してローンまで組んで建てたのに、
最終的に自分に跳ね返ってきてしまうかもしれないということなのです。
『建築会社の利益』を安くした場合
2つ目は『建築会社の利益』を安くした場合についてです。
一部例外もあるとは思いますが、
驚異的に価格が安い住宅会社のほとんどは、
先程お伝えした、職人さんの手間代がものすごく安いことや、
そもそも安い材料を使っていることは当然のことながら、
なにより利益設定が低いという特徴を持っています。
つまり、1軒あたりの利益はものすごく少ないのですが、
数をこなすことによって経営を成り立たせている、
いわゆる薄利多売ビジネスであるということです。
ということは、最も経費がかさむと言われている人件費を削ることになるでしょう。
それにより、現場を動かす役割となる現場監督がいなかったり、
現場経験が未熟なスタッフが現場を仕切らざるを得なくなってしまいます。
そうなれば、気が付けば全く違う家に仕上がってしまっていた...
という状況を招くかもしれません。
また、アフターメンテナンスが雑だったり、
最悪の場合、してくれないことだって考えられます。
そうなれば、もし調子が悪い部分が出たり、壊れてしまった時に、
困った状況に陥ってしまいますよね。
さらに、そんな経営をしていたら、いつ潰れてもおかしくありません。
もし潰れてしまった時には、そもそもアフターメンテナンスを頼む相手が
いなくなってしまうという状況を招いてしまいます。
もちろん、住宅会社は一生懸命仕事をすることは、お伝えするでしょう。
アフターフォローもしっかりとしますと口では言うでしょう。
しかし、現実はどうでしょうか?
住宅会社は、お客様に30年以上もの長い期間に渡って
『住宅ローン』を組んでいただき、
何千万という買い物をしていただくわけです。
ですから、その責任として会社を継続していく責任がありますし、
お客様が安心して暮らしていけるようにサポートし続ける義務があります。
そしてそのためには、適正な利益が必要にもなってくるわけであり、
真っ当な会社であれば、簡単に値引きしたり、安売りしたりは出来ないはずです。
ですから、目先の安さや値引きの誘惑に騙されて、
後々困ったことになってしまった・・
なんてことにならないように、
安売りしたり、安易に値引きするような住宅会社には、
気を付けていただければと思います。
『家の材料代』を安くした場合
最後に3つ目の要素である『家の材料代』について、お伝えします。
ここは、今までとは少し違う視点でお伝えさせていただきます。
家で使用する材料は、見た目は同じようなモノでも、
いくつかのグレードが存在します。
例えば、外壁材や床材といった目に見える材料もそうですし、
断熱材や材木といった目に見えなくなる材料もそうです。
そして、どのグレードを選択するのかによって大きく価格は違ってきます。
ですが、それ以上に価格が大きく違ってくる要素となるのが、
メーカーさんや取引業者さんからの材料の仕入れ価格です。
この仕入れ価格が安いか高いかは、家づくりの価格に大きな影響を与えます。
例えば、定価で100万円のお風呂があったとします。
そして、その仕入れの掛け率がA社とB社で15%違うとします。
すると、15万円という高額な費用が、たった一つの商品だけで違ってくるということになります。
それに加え、定価で100万円のキッチンの仕入れ価格までも、
15%も差があったとしたら...
さらに、水回り商品だけじゃなくその他の材料も、この仕入れ価格が
全く違っているとしたら...
同じ商品を使ったとしても価格が大きく違ってくることになりますよね。
もしかしたら、あなたはこの違いを
多く建てている会社とそうではない会社との違いと感じられたかもしれません。
確かに、数の原理は存在しますから、それもあるでしょう。
しかし実際のところは、それだけでもないのです。
建てている数が多いからといって必ずしも仕入れ価格が安いわけでもなければ、
建てている数が少ないから必ずしも仕入れ価格が高いわけでもない、ということなのです。
これは、その会社の企業努力によるものですから、一概に言えませんが、
"会社 対 会社"のビジネスも、結局は"人 対 人"なので、
メーカーさんや取引業者さんたちから、
『この会社のために力になってあげたい』と思っていただけるような
熱意があり、誠実な会社であるかどうなのかが仕入れ価格に
大きく影響するということなのです。
とはいえ、多くの住宅会社がチープな材料を使って価格を下げるのではなく、
仕入れコストを下げる努力をすることで、良い材料を使いつつ
少しでも金額を抑えて建てられるように努力しています。
まとめ
やはり、良い家を建てようと思えば手間がかかりますし、
アフターメンテナンスサービスも必要不可欠です。
そして、そのためには会社を存続させなければいけません。
このような背景からやはり、それほど安く建てられるわけではないのです。
ですので、住宅会社を選ぶ際は、ただ価格が安いからという理由で
選ばないように気を付けていただければと思います。
良い会社には、良い職人さんたちと
サポートしてくれるメーカーさんや取引業者さんたちがついているので、
そこを見極めていくことが住宅会社選びでは大切なのです。